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ママとベビーのもうひとつの家-産後ケア施設baby.mam

「産後ケア施設」ってご存知ですか?
わたしは子供ふたり産んでますが、その存在自体知りませんでした。
産後ケア施設とは、産後〜赤ちゃん1歳になるぐらいまで利用できる、ママと赤ちゃんのための、助産師さんのケア付きの宿泊施設のことです。
日本では行政主導の制度がありますが、まだ一般的に認知されているとは言えません。
現在コロナ渦の中で、感染予防のため、産後従来より早く退院させるケースがあるそうです。
それに、里帰り出産や、実家から親に手伝いに来てもらうこともしづらい状況があったり。
そんな中で、京都にある使われなくなったインバウンド向け宿泊施設を利用して、産後ケア施設を立ち上げようという女性に出会ったのです。
助産師、看護師、栄養士、保育士がチームとなりサポートしながら、ママがゆったりと楽しく、子育てをスタートできる場所を作りたい、と熱い想いを聞かせていただきました。

元のこの建物はまだ築浅で清潔なのですが、インテリアはシンプルで味気ない印象、インバウンド向けに大量生産されたのがうかがえる宿でした。
今回、ベビーとママが心地よく過ごせることを目指して、優しい彩りと光を演出しました。

ムーンパープルのゲストルーム

コンセプトの段階でわたしが真っ先に思い浮かべたのが、お月さまでした。
いつも陰ながら見守ってくれる存在。
月と太陽と雲が合わさり、奇跡的に見られるパープルの空色。
上品なパープルは女性的で神秘的なイメージをもたらしてくれます。
感性を豊かにしてくれるこの色は、自分の心に素直に過ごしたい方へ、そんな思いでテーマカラーに選びました。

ジュピターブルーのゲストルーム

Jupiterといえば
「命のぬくもり感じて
わたしたちは誰もひとりじゃない
ありのままでずっと愛されて
望むように生きて 輝く未来を」

大好きな平原綾香さんの名曲です。
出産、母と子、というものは、天と地をつなぐようなそんな存在だと思ったのです。

ブルーはクールで冷静なイメージですが、フラットなバランス感覚を兼ね備え、いつもの毎日がおおらかで心地よく、軽やかな日々を過ごすことができます。
海や空のように広がる潜在意識の中から、本当に大切なことを思い出させてくれる、そんな効果がありそうです。

家族で泊まれるファミリールーム

兄弟やパパも一緒に泊まれるトリプルルームです。
明るく、ずっとここで過ごしたくなる、居心地満点のお部屋に生まれ変わりました。

みんなが集う場所ラウンジ


他にないこの施設の特徴と言えるのがラウンジというお部屋を作ったこと。
利用者が集ってお茶をしたり、子育て相談をしたり、ゆったり過ごせるスペースに。
このお部屋だけは真っ白のクロスだったのを、ベージュグレーの落ち着きのあるクロスに張り替えました。
やわらかな陰影が出るペンダント照明と、リネンのソファでやわらかく。

ところどころにアートで彩りを

インスピレーションカラーを基にオリジナルアートで部屋を彩りました。
世界にたったひとつのアートを作ってくれたのはmakikocreation
一棟まるごと、彼女のぬくもりあるアートがところどころに感じられます。

この世に生まれてきたばかりの赤ちゃんと24時間共に過ごす場所。
おだやかに安心できる場所を作りたい。
この時間を大切にしてもらいたい。
そんな想いを胸に、お部屋の中にいながらも、自然の豊かさ、いまここにある命を感じられるような配色を考えました。

今あるものを生かして

まだ新しい建物なのに悲しいかな使われなくなったインバウンド事情。今あるものを生かしながら、なんとかやわらかい表情が出せないかと。
既存の建具や白い壁を生かしながら、やわらかい光の照明やファブリックを配置し、バランスをコントロールし、穏やかな空間を演出しました。

baby.mamスタッフ、温かすぎるチーム。
本当に、みんなの想いがひとつになった素敵な場所が生まれました。
作ってる間、ママになりたてだった頃の自分の経験をあれこれ思い出すんですよ。
そのお話はこちらのコラムに書きました。

>>>一本の傘からもらった子育ての希望と恩送り

今回もいい仕事、いい出会いをさせてもらいありがとう!

>>>産後ケア施設 baby.mam 

Photo by Asami Kawano
Art by makikocreation

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